信濃運輸株式会社は、1965年に設立された運送事業を基盤とした総合物流企業です。1984年に倉庫業へ参入し、2005年には低温物流分野にも進出しました。
現在は首都圏を中心に複数の物流拠点を運営し、約450台の車両を保有するとともに、冷凍冷蔵設備を備えた物流センターを展開しています。「365日24時間、安全・確実・迅速な物流」を掲げ、3PL事業を含めた総合物流ソリューションを提供する同社にとって、物流は「止めることのできない社会インフラ」であり、その責任を果たし続けることが使命であるとしています。
今回は、信濃運輸株式会社の福田氏・田端氏に、物流現場が抱える電力課題や脱炭素への取り組み、そして電力契約の切り替えに至った経緯についてお話を伺いました。
導入までの経緯
取引先企業からレジルを紹介されたことに加え、契約中の電力会社との契約改定に伴う料金見直しのタイミングとも重なったことから、社内で比較検討を開始。
シミュレーション結果やカーボンニュートラルへの対応を含め、経営層・管理部門・現場責任者を交えた議論を経て、導入を決定。
導入前の課題
・冷凍冷蔵倉庫は常温倉庫の約10倍の電力を消費し、電気代が経営に大きく影響していた。
・契約中の電気料金プラン改定によりコスト増加が見込まれたことから、電力コストの抜本的な見直しが求められていた。
・取引先から脱炭素対応に関する問い合わせが増えるなか、明確に回答できる体制の整備が求められていた。
・環境対応を強化したいと考えていたものの、再生可能エネルギーの活用など具体的な取り組みの方向性を模索していた。
導入後の効果
・ 電力契約の見直しにより、電力コストの最適化を図ることができた。
・実質CO2フリー電力※の導入により、取引先からの脱炭素に関する問い合わせに明確に回答できる体制が整った。
・太陽光発電の導入とあわせて、自社の環境対応をさらにステップアップさせることができた。
※レジルは非化石証書を用いることで、実質的にCO2排出量ゼロの電力を供給しています。
常温の約10倍——冷凍冷蔵倉庫が抱える電力消費の重さ

― 物流事業において、電力はどのような位置づけにあるのでしょうか?
どんな会社でも電力は少なからず使うと思いますが、当社の場合は冷凍冷蔵倉庫を保有しており、高圧電力を大量に消費する事業構造になっています。常温の倉庫と比較すると、電力使用量は約10倍になります。
― 10倍ですか!冷凍倉庫では、どのくらいの温度帯で管理されているのでしょうか?
この業界ではC温度帯やF温度帯といった基準があり、当社ではF1級と呼ばれる−20℃で運用しています。
食品衛生法上、冷凍食品は−18℃を超えてはならないとされているため、その基準を維持する必要があります。
【C温度帯】
一般的に10℃~−18℃
【F温度帯】
一般的に−18℃以下
電気代が倍近くに高騰!「抜本的な見直し」が避けられなかった

― 近年の電気代高騰は、御社の経営にも影響がありましたか?
正直、非常に大きな影響がありました。数年前と比較すると、事業用の電気代は倍近くまで上がっており、電力コストは重要な経営課題となっていました。
― 数年でそんなに変化があったのですね。御社ではどのような対策を取られてきたのでしょうか?
実際にできることは限られており、節電に取り組んだり、デマンド管理の装置を導入して最大電力が超過しないようにコントロールしたりと、さまざまな対策を講じてきました。
ただ、デマンド管理にも人手がかかり、本来集中すべき業務に割ける時間が減ってしまうという問題も発生します。
そのため、小手先の対策ではなく、抜本的な見直しが必要な状況でした。
電力会社の契約改定「2つのタイミング」が重なった出会い

― 今回の電力切り替えについて、まずは導入のきっかけを教えていただけますか?
取引先企業からレジルをご紹介いただいたのがきっかけです。
ちょうど同じタイミングで契約中の電力会社から「4月以降に契約内容が一律で変わる」という通知があり、その精査の結果、料金が上がることが判明しました。
また、新しい契約には「市場価格に100%連動するもの」「数十%連動するもの」「連動しないもの」の3つのプランが用意されていたのですが、正直どのプランが最適なのか、判断が難しい状況でした。
― その中で、切り替えを検討した理由を教えてください。
レジルとは時間をかけて相談を重ねながら、手続きを進めました。
その中で、4月以降の契約改定の内容についても、メリット・デメリットを含めた詳細な説明を受け、値上げ後の単価とレジルの単価を比較した資料なども早急に準備していただきました。
そして、シミュレーション結果をもとに、経営層・管理部門・現場の責任者を含めて議論を重ねた上で、最終的に決定したというのが、一連の流れになります。
― 冷凍冷蔵倉庫を抱える御社にとって、一瞬でも電気が止まることは大きなリスクだと思いますが、そこへの不安はなかったのでしょうか?
そこはかなり気を使った部分です。万が一電力供給が途絶えれば、倉庫内の商品が全て駄目になってしまいます。
ただ、レジルとのやり取りの中で、そのあたりの懸念も十分に確認できたため、安心して切り替えに踏み切ることができました。
実際に当社側での切り替え作業はほとんどなく、契約が変わったタイミングで従来通りに利用できるので、とくに大きな手間が発生することもありませんでした。
取引先からの問い合わせが増加。「サプライチェーン全体」での脱炭素の重要性

― コスト面に加えて、脱炭素への対応も切り替えの背景にあったと伺いました。取引先から具体的な問い合わせはあったのでしょうか?
最近では、「御社ではどのような脱炭素対策を講じているのか」という問い合わせが、特に増加しています。
取引先から直接聞かれることもありますし、取引先が納品しているエンドユーザーの企業から求められるケースもあります。中には、取り組み内容を文書で提出してほしいという企業もあります。
― サプライチェーン全体で脱炭素が求められる流れが、御社にも及んでいるということですね。
そうですね。大手企業は当然のように取り組んでいますし、その流れは協力会社にも求められていくものだと考えています。我々としても、そこに対応できる体制を整えておく必要がありました。
物流業界の脱炭素化の課題と、今できることに向き合う姿勢

― 物流業界全体の脱炭素化という観点では、今後どのようなことが課題になるとお考えですか?
今、世の中に出ているEVトラックは、実用面で課題が残るのが現実です。航続距離の問題もありますし、費用対効果が見合う段階にはきていません。環境が整った段階で、当社としても検討していきたいですが、現時点では難しいですね。
― その中で、まず電力の切り替えから着手されたというのは、大きな一歩ですね。
そうですね。やれることは現時点では非常に限られていると思います。その中で、どれだけ真摯に対応していくかが重要です。
トラックのEV化はまだ先になるかもしれませんが、電気の部分は今すぐ取り組めるところでしたので、まずはそこから始めました。
― 同じように電力コストや脱炭素に課題を感じている物流企業に向けて、メッセージをいただけますか?
冷凍冷蔵業界はかなり幅広い分野であり、どの企業も電気料金や脱炭素といったテーマには意識を向けていると思います。
ただ、レジルのような選択肢があることを知らない会社も少なからずあるので、「ニーズがマッチするのであればよい取り組みになる」というのは私からお伝えしたい点です。
― ありがとうございます。今後ますます対策が必要になる企業の脱炭素化への取り組みについて、電力の観点からお役に立てるよう引き続き尽力してまいります。
まとめ

信濃運輸株式会社では、冷凍冷蔵倉庫における膨大な電力消費と、近年の電気代高騰という経営課題に直面する中、現場の負担を最小限に抑えたスムーズな切り替えを実現しました。
太陽光発電の導入とあわせて、物流業界の脱炭素化に先駆的に取り組む同社の挑戦は、これからも続いていきます。
※この事例は一例であり、すべてのケースで同様の結果を保証するものではありません。